ハワイ島のコナ地区で栽培されるハワイコナコーヒー。ハワイ島以外でも近隣諸島でコーヒーの栽培は行われていますが、中でもコナは最高品質といわれ、世界的にもよく知られています。火山灰が作る肥沃な土壌や、昼夜の寒暖差により、さわやかな酸味となめらかなコクを持ちます。
独特の青緑色をしているハワイコナは、出荷前には粒の大きさや欠点豆の割合でグレード分けされ、一定ランク以上のものだけが「コナ」として販売できるのだとか。生産量が少ないため、日本ではブルーマウンテンと並ぶ高級豆としても知られています。
ハワイコナについて詳しく調べてみました。
世界三大コーヒー
ハワイコナは、ブルーマウンテン、キリマンジャロと並んで「世界三大コーヒー」と呼ばれることもあります。ハワイはコーヒーベルトと呼ばれる地帯に属し、コーヒーの生産に適した地域です。
限られた地区でしか生産できないので、年間の生産量はわずかに1,000~1,500トン。世界のコーヒー生産量の1%にしかなりません。目が覚めるように鮮やかな酸味と、南国らしい香りが特徴で、日本でも数年前にブームが訪れました。
ハワイってどんなところ?
世界三大コーヒーに数えられるハワイコナ。その理由は希少価値と同時に独特の風味ですが、一体どんな産地から生まれるものなのでしょうか。ハワイ諸島は現在、アメリカ合衆国50番目の州に属していますが、8世紀ころから古代ポリネシア人の王国が存在していたと言われます。
ハワイ諸島がヨーロッパ人に発見されたのは18世紀後半、コロンブスの大陸発見以降のことでした。
ハワイコナの産地
ハワイ諸島は19の島および環礁(サンゴ礁)からなり、環礁をのぞくと8つの島々です。なんと火山だけで構成された列島としても知られており、2018年5月にはハワイ島のキラウェア火山が噴火したことで、記憶にも新しいのではないでしょうか。
火山灰がつくる土壌は肥沃で、コーヒーの生育に一役買っています。ハワイというと常夏のイメージがありますが、貿易風が絶えず吹いており、気温・湿度ともにさほど上がらず、年間平均気温は23度ほど。
コナは比較的乾燥する地帯ですが、他の地域と同じようにスコールがあるので一定の水量は確保されており、コーヒーに適した環境になっているわけですね。
ハワイコナの美味しさのヒミツ
ハワイコナのヒミツはそれだけではありません。コーヒーにはやはり、日照量が重要。ハワイの日照量は、もちろん十分。貿易風のおかげで高温になすぎることもなく、午後は曇ることが多く、日陰ができやすいといいます。
かつては大規模栽培を試みた時期もありました。ハワイ島は諸島の中で一番おおきな島とはいえ、機械は使わず人の手で1粒ずつ収穫し、水洗式で精製されています。ほとんどが有機栽培を行っています。
ハワイコナコーヒーの歴史
ハワイにコーヒーが持ち込まれたのは19世紀前半のことで、当初は観賞用だったという説もありますが、はっきりしたことはわかっていません。ハワイ島以外にも、多くの島でコーヒーの生産が行われた歴史がありますが、虫害をうけて衰退してしまいます。
コナだけが虫が適さない環境だったことから、以来、コナがハワイでのコーヒー生産中心地となりました。
ハワイコーヒーの衰退
コナをのぞいてコーヒーが壊滅状態となってしまったハワイ諸島では、ほかの作物で生計を立てなければなりませんでした。砂糖やパイナップルのプランテーションが導入されたり、マカダミアナッツ、アボカドなどの大規模栽培がおこなわれました。
いったんは衰退したハワイコーヒーでしたが、コナコーヒーの名声や、虫害をおさえる技術開発などをうけ、徐々にコーヒーに転作するなどの動きもあります。
幻のハワイコナ「ピーベリー」
ハワイコナはアラビカ種ティピカと呼ばれる品種です。香りがよく、ブレンドとして使われることもよくあります。ハワイコナ100%のものを「コナコーヒー」というのに対し、10%以上使用したものを「コナブレンド」といいます。
ハワイコナの等級は5段階になっており最高級のものを「エクストラファンシー」といいますが、これ以上の幻のコナ「ピーベリー」が存在するといいます。その値段、なんと200gで8,000~9,000円。生豆だと少し安くなるようですが、ブルーマウンテンに勝るとも劣りません。
ハワイコナの等級
豆の大きさや色、香りによって分ける5等級は「エクストラファンシー」「ファンシー」「No.1」「セレクト」「プライム」と格付けされています。一方、これとは別に欠点豆の数で格付けされる場合はエクストラファンシーからNo.1までの3等級となります。
ピーベリーはどちらにも当てはまらない特別な豆です。通常、コーヒー豆はコーヒーの実の中に、2つ向かい合わせに入っていますが、1粒しか入っていないものがあります。これがピーベリーです。普段よく見る平べったいコーヒー豆と違い、ピーベリーは丸くなっています。
ハワイコナの中でもたった3%ほどしか取れないという珍しさで、日本ではなかなか手に入りません。
ピーベリーは美味しいのか?
通常、コーヒーチェリーの中で2粒に分けられるはずの栄養を、ひとり占めしてしまったのがピーベリーです。当然、栄養は1粒のコーヒー豆の2倍…かと思いきや、逆に栄養をたくさん取り込んだものがピーベリーになりやすいと言われています。
とくにコーヒーの木の枝の先端にできやすく、凝縮された豊かな味わい生むそうです。一般的なハワイコナと比べて、油分が多く、ミネラルの量はケタ外れ。酸味が少なめで、挽く直前まで豊かな風味を保つとか。最高のコーヒー、飲んでみたいですね。
ハワイコナが高値になるヒミツ
ハワイコナは限られた地域でしか生産できないので、希少価値があり、しかも品質が高くて美味しいのですが、ハワイコナ高値の理由がもうひとつあります。それは、先進国で採れる豆だということです。物価や人件費は途上国とは比べものになりません。
さらにもうひとつあります。ハワイコナはホワイトハウス御用達のコーヒーなんです。これも値段を引き上げている一因だとか。そこまで言われると余計に飲みたくなってしまいますね。
ティピカとは?
流通しているコーヒーの多くはアラビカ種もしくはロブスタ種に大別されます。アラビカ種のほうが病虫害に弱く、栽培が難しいと言われますが、アラビカ種の方が味がよいと言われるのも事実。
ティピカは、そんなアラビカの中でも最古の品種です。エチオピアが原産のアラビカ種を、中南米へ移入したものが起源と言われており、香りが強くて酸味や甘味が強いのが特徴です。ハワイコナの酸味の原点はティピカにあったんですね。
ハワイコーヒーの種類
ハワイコナひとつとってもたくさんのブランドがあり、またコナ以外にも多くのハワイコーヒーがあります。いくつかご紹介します。
カウコーヒー
コナと同じくハワイ島で生産されているコーヒーです。マウナロア山の南西がコナ地区ですが、こちらは東側のカウ地区で栽培されています。溶岩の土壌であるコナに比べると、赤土のカウでは酸味が少なくて豊かなコクが出るようです。
土壌の違いでこんな風に味が変わるのは、興味深いですね。
マウイコーヒー
ハワイ島のすぐ北西に浮かぶマウイ島で作られたコーヒーです。標高3,000メートルといわれるハレアカラ山が産地となりますが、「コナよりおいしい」とハマってしまう人もいるそうです。酸味は少なくて、なめらかな口当たりが特徴です。
モロカイコーヒー
オアフ島のすぐ西にある小さなモロカイ島で作られたコーヒーです。かつては砂糖のプランテーションを営んでいましたが、最近になってコーヒーに転作しています。濃厚なコクと酸味が特徴で、エスプレッソで飲むのもオススメだとか。
フレーバーコーヒーって?
フレーバーコーヒーとは、フレーバーティーのように、風味を付け加える加工をしたもので、バニラ、キャラメル、マカダミアナッツなどのフレーバーコーヒーがよく見られます。インスタントのタイプも、豆が挽いてあるタイプもあるので、興味のある方は探してみてくださいね。
なお、あくまでも香りがプラスされているだけなので、カロリーなどの心配がいらず、近年ダイエッターに人気だとか。日本でもよく見る「ライオンコーヒー」は、ハワイのおみやげものとしても定番です。
ハワイコナ100%を飲んでみよう!
ほかの豆を混ぜずに、一種類の銘柄だけでコーヒーを入れることを「ストレート」と言います。ハワイコナのストレートは、日本ではなかなか手に入らないそうですが、ぜひ一度味わってみたいですね。
花のような甘い香りとフルーティな酸味…今すぐハワイに行きたくなっちゃうかも!?現地では見学可能な観光農園になっている、とも言いますしね。100%ハワイコナ、見つけたときはぜひ、迷わず手に入れてください!